今日から出来る認知症予防
第80回 平成21年6月17日開催
東京都老人総合研究所 主任研究員 矢冨直美 先生
認知症の原因
アルツハイマー型認知症が60%、脳血管性認知症が15%とこれら2つが全体の8割近くを占める。その他レビー小体型認知症などもみられる。
1.アルツハイマー型認知症:アミロイドβ(ベータ)タンパク質が脳内に蓄積してアミロイド斑
を作り、周囲の神経細胞を死滅させる。
2.脳血管性認知症:脳の血管が詰まったり破れたりして起こる。
3.レビー小体型認知症:脳内にレビー小体というたんぱく質の固まりが蓄積して神経細胞
を障害する。幻視や妄想が見られる。
軽度認知障害の時期に見られる症状
1.エピソード記憶低下:ど忘れではなく、体験した事を全く記憶していない。
2.注意分割機能低下:煮物をしながら揚げ物が出来ずにフライパンを焦がしてしまうなど、複数の作業を並行して
出来ない。「ながら族」が出来ない。
3.計画力「思考力」の低下:電話番号を調べて電話をかける事が出来ない、貯金の出し入れが出来ない、薬を正し
く飲めない、バスや電車で外出が出来ないなど。
認知症の予防法
脳血管障害の発生を予防するには、その危険因子である運動不足、肥満、食塩の過剰摂取、飲酒、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患などを予防する事であるが、アルツハイマー型認知症の予防は、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑える事と脳を鍛える事である。
1.アミロイドβタンパク質の蓄積を抑える
①有酸素運動:ウォーキングや水泳など長時間続けられる有酸素運動はアミロイドβを分解する酵素を増やし、ま
た脳の血流を良くする。
②食生活:不飽和脂肪酸と抗酸化作用を持つ食品の摂取。不飽和脂肪酸はイワシ、サバなどの青魚に多く含ま
れる。抗酸化物質はビタミンC,E,ベータカロテンを多く含む緑黄色野菜や果物、赤ワインに多く含まれる。
2.脳を鍛える:脳は使えば使うほど変化する。脳を鍛え余力を蓄える。
①計画力を鍛える:旅行の計画、新しい料理、パソコン、囲碁・将棋など。
②記憶力を鍛える:レシートを見ないで家計簿をつける、昨日起きた事を今日日記に書くなど。
③注意分配力を鍛える:煮物や焼き物など何品かを同時に料理する、相手の表情や気持ちに注意を向けながら
会話するなど、複数の作業を同時に行う。
認知症予防策をいかに持続させるか
ライフスタイルを変えるのは難しいが、仲間がいるとウォーキングは続けられるし、グループでの活動は持続力を高める。地域全体での取り組みが必要である。
平成21年7月発行 コンチェルト第121号 より
東京都老人総合研究所 主任研究員 矢冨直美 先生
認知症の原因
アルツハイマー型認知症が60%、脳血管性認知症が15%とこれら2つが全体の8割近くを占める。その他レビー小体型認知症などもみられる。
1.アルツハイマー型認知症:アミロイドβ(ベータ)タンパク質が脳内に蓄積してアミロイド斑
を作り、周囲の神経細胞を死滅させる。
2.脳血管性認知症:脳の血管が詰まったり破れたりして起こる。
3.レビー小体型認知症:脳内にレビー小体というたんぱく質の固まりが蓄積して神経細胞
を障害する。幻視や妄想が見られる。
軽度認知障害の時期に見られる症状
1.エピソード記憶低下:ど忘れではなく、体験した事を全く記憶していない。
2.注意分割機能低下:煮物をしながら揚げ物が出来ずにフライパンを焦がしてしまうなど、複数の作業を並行して
出来ない。「ながら族」が出来ない。
3.計画力「思考力」の低下:電話番号を調べて電話をかける事が出来ない、貯金の出し入れが出来ない、薬を正し
く飲めない、バスや電車で外出が出来ないなど。
認知症の予防法
脳血管障害の発生を予防するには、その危険因子である運動不足、肥満、食塩の過剰摂取、飲酒、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患などを予防する事であるが、アルツハイマー型認知症の予防は、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑える事と脳を鍛える事である。
1.アミロイドβタンパク質の蓄積を抑える
①有酸素運動:ウォーキングや水泳など長時間続けられる有酸素運動はアミロイドβを分解する酵素を増やし、ま
た脳の血流を良くする。
②食生活:不飽和脂肪酸と抗酸化作用を持つ食品の摂取。不飽和脂肪酸はイワシ、サバなどの青魚に多く含ま
れる。抗酸化物質はビタミンC,E,ベータカロテンを多く含む緑黄色野菜や果物、赤ワインに多く含まれる。
2.脳を鍛える:脳は使えば使うほど変化する。脳を鍛え余力を蓄える。
①計画力を鍛える:旅行の計画、新しい料理、パソコン、囲碁・将棋など。
②記憶力を鍛える:レシートを見ないで家計簿をつける、昨日起きた事を今日日記に書くなど。
③注意分配力を鍛える:煮物や焼き物など何品かを同時に料理する、相手の表情や気持ちに注意を向けながら
会話するなど、複数の作業を同時に行う。
認知症予防策をいかに持続させるか
ライフスタイルを変えるのは難しいが、仲間がいるとウォーキングは続けられるし、グループでの活動は持続力を高める。地域全体での取り組みが必要である。
平成21年7月発行 コンチェルト第121号 より
by itokukai
| 2010-09-30 15:00
| いきいき健康講座